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執筆者の写真ohata motoko

かぼちゃの香り


Halloweenでは、大きなオレンジ色のかぼちゃの中をくり抜いてランタンにし、飾ります。


日本では、冬(特に冬至)にかぼちゃを食べる習慣がありますね。諸説あるようですが、古くから、長生きを祈ったり、厄除けなどのために、冬に栄養豊富なかぼちゃを食べているようです。それに、かぼちゃはホクホク甘くておいしいですものね、寒い冬にはもってこいです。

ところで、私はかぼちゃだけでなく野菜の香りについてはきちんと勉強をしたことがなかったので、授業の準備という意味も込めて論文や書籍を結構読んでみました。今日は、Halloweenも近いので、かぼちゃの香りについて書こうと思います。

かぼちゃは通常生では食べませんので、生かぼちゃの香りについての論文などはほとんど見当たりませんでした。煮た調理かぼちゃの香りについてはいくつかありました。量的に多い匂い成分は、ヘキサノール、ヘキセナール、ヘキサナールなど。これらは、グリーンな匂いがして、多くの野菜に含まれています。また、(2E, 6Z)-ノナジエナールという、ウリっぽい爽やかな匂いのする成分も検出されていました。この(2E, 6Z)-ノナジエナールは、煮かぼちゃの特徴香の一つのようです。匂いとしての寄与度が高いのです。ホクホクっとした煮かぼちゃの匂いの中には、やはりウリっぽい匂いもちゃんとあるんですね〜


それよりも寄与度が高いのが、2-アセチル-1-ピロリンと3-メチルチオプロパナールです。この2種類の匂い成分は私はとてもよく知っている成分でもあり、前者はポップコーンの様な匂いや軽いロースト臭を示し、後者は茹でたじゃがいもの様な匂いや出汁っぽい匂いを示します。この2種が特に寄与して、煮かぼちゃはホクホクっとした甘いロースト臭を示しているのですね。これらの匂い成分はかぼちゃを煮ている間のメイラード反応(とそれに伴うストレッカー分解)で生成したと考えられます。


構造式を見てもわかるように、NやSが入っていますね。このような原子が入った匂い成分は基本的に閾値が非常に低く、食品中では微量の存在でものすごいインパクトがあります。香りの科学で習いましたね!これらも例外ではありません。

ところで、2-アセチル-1-ピロリンは、茶豆(枝豆の一種)の匂い成分としても非常に有名です。昔、味噌の匂いを研究していたときに読んだ論文で覚えていました。


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