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  • 執筆者の写真ohata motoko

お肉の匂い②


肉の熟成のことを少し書いていて、ふと思い出したのですが、生ハムも熟成していますね。製造の工程で長期間熟成しています。豚肉です。

以前、仕事でスペインの生ハム工場を訪れたときに、熟成中の生ハムがずらっとつるされているプラントも見ましたが、初めて感じる匂いで驚いた記憶があります。べたつくoily、waxyな匂い(アルデヒド系?)と、どことなくフローラルな匂い、しょっぱい匂い・・・当時のメモにはそんなことが書いてありました。ホントかなぁ。ちょっと記憶があいまい。。。肉!というような印象はありませんでした。


気になったので改めて論文読み直してみました。

Mónica Flores, Casey C. Grimm, Fidel Toldrá, and Arthur M. Spanier, Correlations of Sensory and Volatile Compounds of Spanish “Serrano” Dry-Cured Ham as a Function of Two Processing Times., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 1997, 45 (6), pp 2178–2186

かなり古い論文ですが、まさにこのモニカさんが生ハム工場に連れて行ってくれて、スペイン語から英語に通訳してくれたとてもお世話になった方の論文です。

読み直しますと・・・ダイナミックヘッドスペース法でとても丁寧に香気成分を捕集していることがわかります。短期間熟成と長期間熟成における匂い成分の検出量と、官能評価との関連性を調べています。古い論文だけど、いろいろと考えさせられます。

ところで、セラーノハム(スペインの伝統的な生ハム)の官能的に好ましい匂いと相関関係にあったのは、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、ピラジンだそうです(私が直感した香調はどれにあてはまるのかなぁ)。この論文では、それぞれの匂い成分の検出量と官能評価スコアから相関関係を調べていますが、検出量の多い成分でも閾値の関係であまり匂わないものもあります。したがって、匂いの強度を数値化したものと官能評価スコアから相関関係を調べると、さらにおもしろいことになりそうですね。

それにしても、熟成の違いと、全体的な匂い成分と、官能評価結果から導き出された成果を改めて見ると、出てきたデータに対して視野を広くすることがとても大事だということに改めて気づかされました。このところ私は、インパクトのある単一ケミカルに執着しすぎているなぁと反省です。もちろんそれは大事なことなんでしょうけれど、結局私が最終的にみたいのは「食品」「おいしさ」なのですから、時にぐーっと引いてぼーっと見てみることも重要だと感じました。


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