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日大と桜と匂いの勉強

  • 執筆者の写真: ohata motoko
    ohata motoko
  • 4月4日
  • 読了時間: 3分

桜の季節ですね!日本人としてこの季節に桜が咲くことはとても幸せで特別なことです。

桜は日大にとって、シンボルとなる木、花ですね。校章にも桜がデザインされていますし、スクールカラーからもイメージできます。


生物資源科学部では、本日満開じゃないか?くらいの見事な桜が見れました!




さて、桜から連想するのが花より団子なわたしは桜餅。京都にいたときに道明寺粉を使って道明寺の桜餅を作ったのが忘れられませんが、写真は残っておらず、やはり食い気が優先されたようです。

桜餅に巻かれる桜の葉の塩漬けは、この季節を代表すると言っていいくらいのいい香りがします(個人的に)。その正体は、よく知られていますがクマリンです。クマリンと香水の関係はまたいつか書くとして、今日は花とクマリンについて面白い論文を読んだので少し紹介します。


桜とは全然違う話で恐縮ですが、デルフィニウムという花はお花屋さんで見かけることがあるかと思います。青くてきれいなお花ですね。青いので、色的にとてもインパクトがあります。が、匂いがしません。それに関する論文です。

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タイトル:Synergy Effect of Sodium Acetate and Glycosidically BoundVolatiles on the Release of Volatile Compounds from theUnscented Cut Flower (Delphinium elatum L. “Blue Bird”)

著者:ZIYIN YANG, SAKURA ENDO, AYA TANIDA, KENJI KAI, NAOHARU WATANABE

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簡単に言うと、切り花として売ってるデルフィニウムを、匂い物質の基質というか前駆物質となりうる物質を溶かした水にいけたらデルフィニウムの花から匂いがした!というものです。バラの花のあの素敵な匂いは主として2-phenylethanolです。バラの花びらには2-フェニルエチルβ-d-グルコシドなどの配糖体が蓄えられていて、光の周期を通してβ-グルコシダーゼなどの内在性酵素の作用によって2-phenylethanolとなり、放出されています(結構有名な話)。ということで、デルフィニウムには、2-クマル酸グルコシドを供給したところ(いける水に2-クマル酸グルコシドを入れた)、なんとクマリンが生成されて花から空気中に放出されたというのです。個装マイクロ抽出法でクマリンを捕集し、機器分析されています。

クマリンの化学構造式
クマリンの化学構造式

もしかして?と思って読み進めましたら、なんと、2-クマル酸グルコシドと2-フェニルエチルβ-d-グルコシド両方供給すると、クマリンと2-phenylethanolのどちらも生成されたというじゃないですか。さらには、酢酸Naと2-クマル酸グルコシドを同時に供給すると、クマリンの生成がエンハンスされたそうです。


わたしのように短絡的な人間は、そもそも匂いのない花に匂いを与えるのはどうなんだろう、とか、匂いのない花の匂いを自由にデザインできるかもしれない、などと考えてしまいますが、この論文の真意は違っていて、代謝経路を理解することによって、なぜ匂いがないのか、そのメカニズムに迫る、というものだと感じられました。おそらく、種の保存や育種など将来的にはそういったことに繋がるのだと思いました。(専門外なので違っていたらごめんなさい。)


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